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「ねえ、フラーミィ。どうしてかな?」  はあ、とため息をつきながら、アイラは自分の腕に入った線を指でなぞりました。そしてパタン、と腰かけていたベッドの上に仰向けに倒れ込みました。青色の薄い上掛けが、くしゃりと歪みました。 「私の過去をかすめとったり、逆さ鏡に映したり。『私』を狙っていると考えるのが妥当よね? 紅霧はどう思う?」 「だからあたしはアイラに関わらせたくなかったんだ。こうなったら水神様のところに行って、水をいただかないと」 「そうか! 水神様の湖の水には治癒(ちゆ)の力があるんだっけ……。昔々、女戦士が一口飲んだら、たちどころに傷も力も()えたっていう、あれ、ね」 「にゃ!」 「その手がありましたか! 紅霧、ではトゥラナを出現させてください。いつ砕けるかわからないのですから、一刻も早く水神様の元へいかなければ」 「にゃあ! さっそく行こう」
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