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「アイラの祖先はかつて、水神様に命を捧げると言った。
そして水神様は影を操る力を分け与えられた。その力は鏡に宿っていたが、鏡が砕け神さまの水がアイラの中に入った。
つまりね、アイラは神に仕える巫女なんだよ。自らを生贄とし、祈りを届ける力があるんだ」
「生贄?! それはいけません!」と思わず叫んで、アイラの手首を掴んで引っ張り、背中に隠しました。
「まあ、待ってよ、フラーミィ。私が生贄になれば、鳥が戻ってくるの?」
「いや……」
紅霧は首を横に振った。
「神樹で太陽が生まれ、目覚めて世界へ旅立つというサイクルを作ることができるってことさ。鳥の代替みたいなものだね。空もきっと、晴れ渡るだろうさ」
「それで、私はどうなるの?」
「水神様がいる甕があっただろう? あの水の中で永遠の時を過ごすことになる」
「生贄って言っても、死ぬわけじゃないんだね」
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