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「そうだね。僕も記憶が曖昧で、ごちゃごちゃしているんだけど、なぜか君がフラーミィだって分かるよ」
なるほど、なるほど。なぜかはわからないけれど、わかったということですね。
この不思議な現象は、人間たちにとって気にも留めないような、ありふれたもののようです。影である私には、謎でしかありませんが。
「私達、ウィスハートさんに配布物とか宿題を持ってきたんだよ。会えるかな?」
「どうしたものでしょうね」
迷っていると、私がなかなか戻らないので、しびれを切らしたアイラが家の奥から叫んできました。
「フラーミィ! どうしたの~?」
同じ姿なので、アイラがこちらに来ることは出来ないのです。
「一来と稜佳がお見えです。お通ししてもいいでしょうか?」
「……いいわよ?」
訝しげな声ですが、了承が出たので、私は二人を屋敷の中へ招き入れました。
「アイラ、お連れしました。お茶を入れてまいります。ちょうど美味しいチョコレートがありましたね」
アイラは私にうなずいてみせ、それから一来と稜佳に向き直りました。
「まあ、座れば? それで? 学校で配られたプリントでも持ってきたの?」
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