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「おだまり! 猫だけど、紅霧だってそう言ってるだろ! 一来も稜佳もアイラの事を忘れちまうなんて、あんまり薄情じゃニャいか! ……おや? それなのに、あたしのことは覚えているのかい?」 「す、すみません。どうやら紅霧さんのことは覚えているみたいです。だけど、なんで猫になっちゃったんですか?」 「あたしのことはいいんだよ! それよりも、アイラとの思い出を、全然覚えていないっていうのは、一体どういうことなんだい? だいたい、稜佳のそのブラック&ローズのネックレスは、誰がプレゼントしたと思ってるのさ?」  黒猫はイライラと尻尾を振って歩き回りながら、わめきました。 「ネックレス?」  稜佳は制服のブラウスの下に、いつもこっそり付けているネックレスを引っ張り出して、しげしげと見つめました。 「これは……大好きなゴシックメタルバンドのDeath Crowの府川虎がいつもつけているアクセサリーで……」  稜佳は独り言を言いながら、こめかみをもみました。マッサージすれば、頭の回路が繋がって思い出せる気がするのでしょうか? 無駄だと思いますが。
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