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「巫女が生贄ってつまり……」一来が顔をしかめました。
「そう。つまり私よ。と言っても、死ぬわけじゃないから安心して。ただ祈りを捧げる役目につくだけよ。だけど、そうは言っても、祈りを捧げるなんて面倒だから、鳥を探して連れ戻そうとしているってわけ。わかった?」
「うん、まあなんとなく。だけど紫霧さんはどうして鳥を盗んだんだ?」
「紫霧は別のトゥラナの神に仕えているんだ。今のあたしみたいに」
紅霧は長い尻尾をしなやかに動かしながら、歩き回りました。
「別のトゥラナは、別次元の世界なんだ。だから左右反転ではなく、上下反転の逆さ鏡が存在する。鳥を逃がし、さらに逆さ鏡を使ってアイラを壊せば、目覚められない太陽が成長しすぎて、神樹を燃やし尽くす。それを狙っているんだ」
「でもどうして私たちの世界を壊そうとするんだろう?」
「どうやら、水神様が影を操る力をアイラに分け与え、鏡の世界の一つを私たちが破壊したことがお気に召さないようですね」
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