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「しかしながら、百トゥラナをくぐり抜けても、先日の経験から推測するならば、おそらく三十分もあれば充分でしょう。アイラを乗っ取るのが三十分、早くても遅くても、さしたる違いはないと思いますよ」 と、完璧な分析を、きわめて優しく申し上げたのですが、アイラは先ほどよりもさらにむくれています。 「フラーミィ、百トゥラナが三十分、って、私はそういう具体的な時間を言ったわけじゃないの。すっごく長いっていう雰囲気よ! あなたって空気が読めないの?」 「影に空気を読めと? 無理です。空気は吸うものですから」  アイラがますます真っ赤になり、プイッとそっぽを向くにいたると、こらえきれなくなり、私はとうとう吹き出しました。
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