Higher Dimension  World

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「ほら、アイラも」 「後で食べる。食欲がないの」 「食べれば、体がお腹が空いていたことを思い出すよ! ほら、食べた食べた」 「強引だなあ」 「何言ってるの。アイラの体は何で出来ていると思っているの? 美味しい食べ物とママの愛よ」  アイラは首をすくめて、網の焼き目の付いたヴォイレイパを手に取りました。そして、気のない様子で、パクリとかぶりつきました。 「んんっ! おいしーい!」と、アイラは目を見張ると、急に空腹に気が付いたように、大きな口を開けて、早くも二口目をかぶりつきました。 「でしょう?」サラは得意げに眉をくいっと上げ、自分もヴォイレイパをかじりました。  結局アイラは、食後のデザートにサクランボもしっかり食べ、ほうっと息を付きました。 「おや? アイラ、ヒビが少し、薄くなっていませんか?」 「あ、本当だ! すこしポウッと暖かい感じがする。ヒビの奥の方で、カサブタの下のピンク色の肌が出来ているみたいな感じ。むず痒いっていうか」 「はい、そうですね。私も感じます」 「言ったでしょ。アイラの体は美味しいものとママの愛で出来ているってね。体と心を強くすれば、そんな傷なんてすぐ治るわよ」
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