3/13

81人が本棚に入れています
本棚に追加
/214ページ
「神樹から鳥を引き離せればいいから、捕まえておく必要はないってことか!」 一来が頷くと、紅霧も「にゃん!」と鳴きました。 「でも世界は広いわよ。この辺にいるとは限らないんじゃない?」 「アイラの近くにいるのは間違いない。アイラには水神様の湖の水が入ってる。だからトゥラナの世界に近い。水神様は、鳥には帰巣本能があるから、アイラのそばから離れて遠くには行かないはずだ、と」 「なるほどね。紅霧、鳥の種類だけでもわからないの?」 「鳥なんて今まで気にしたことがなかったからねえ。鳥の種類なんて、カラスと鳩とスズメしかわからないよ」 「図書館で動物図鑑を借りてくれば、同じ鳥を見つけられるんじゃないか?」 「神樹に棲んでいる鳥なんだから、特別な鳥なんだよ。見たことのないような鳥なんじゃないかなあ?」と、稜佳がスマートフォンを鞄から取り出した。 「変わった鳥の目撃情報を探してみようか?」 「それにしても、紅霧。あなた、鳥の種類も分からずに、どうやって見つけるつもりだったの?」 「アタシは見ればわかる」 「大きさは?」 「そうだね。あそこにいるカラスよりは小さかったね」 「スズメくらい?」
/214ページ

最初のコメントを投稿しよう!

81人が本棚に入れています
本棚に追加