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「神樹から鳥を引き離せればいいから、捕まえておく必要はないってことか!」 一来が頷くと、紅霧も「にゃん!」と鳴きました。
「でも世界は広いわよ。この辺にいるとは限らないんじゃない?」
「アイラの近くにいるのは間違いない。アイラには水神様の湖の水が入ってる。だからトゥラナの世界に近い。水神様は、鳥には帰巣本能があるから、アイラのそばから離れて遠くには行かないはずだ、と」
「なるほどね。紅霧、鳥の種類だけでもわからないの?」
「鳥なんて今まで気にしたことがなかったからねえ。鳥の種類なんて、カラスと鳩とスズメしかわからないよ」
「図書館で動物図鑑を借りてくれば、同じ鳥を見つけられるんじゃないか?」
「神樹に棲んでいる鳥なんだから、特別な鳥なんだよ。見たことのないような鳥なんじゃないかなあ?」と、稜佳がスマートフォンを鞄から取り出した。
「変わった鳥の目撃情報を探してみようか?」
「それにしても、紅霧。あなた、鳥の種類も分からずに、どうやって見つけるつもりだったの?」
「アタシは見ればわかる」
「大きさは?」
「そうだね。あそこにいるカラスよりは小さかったね」
「スズメくらい?」
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