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「ねえ、その顔、一体、どうしたの?」
攻撃する気が萎えたアイラが、眉をひそめて聞きました。
「あんたのせいらよぉ」喋りにくいのか、聞き取りにくいくぐもった声です。
「はぁ? 私のせい?」
「あんたがおとなしく砕けてくれないからぁ! 鏡が飢えちゃったじゃないの……。逆さ鏡はね、クノチを食べずにはいられない魔鏡なんだ」
紫霧がアイラを睨みつけました。
「なるほどね。つまり、私が砕けなかったせいで、充分な量のその……クノチ? とかいうものが奪えなかった。それで紫霧が私の代わりに、鏡に映されちゃったってこと?
紫霧、あなた、道具のエサに自分がなってどうするのよ。ばあっっっっっかじゃないの?
それにね、そもそもどこに大人しく砕けてやる人間がいるって言うのよ」
「あはっ。それもそうかぁ……。でもあたしは鏡にちょっとクノチを貸しただけらから。鏡にクノチが溜まれば、あたしにはクノチがもどってくるんら」
「ふうん。そうなの? あなたのボロボロな様子は、そんな簡単なこととは思えないけどね」
「なんで……、なんでアイラもその黒猫もクノチの流出が止まったんだよぉ! 」
「失礼。クノチとはなんですか?」
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