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「ふん……。二回も鏡に映ったんだ。もう充分だよね? アイラの体を見てごらん」  はっとして腕の中のアイラを見ると、薄くなったはずのヒビが、ふたたび深く、赤く、見る間に長く伸びて体を覆っていきます。 (壊すには、鏡に映すだけでいい。必ずしも「落ちる」必要ないんでしたね……)と私は苦く思い出しました。  紅霧が私の足に絡みつきながら、心配そうに歩き回りまわっています。 「アイラ!」 「アイラちゃん!」  一来と稜佳が物陰から飛び出してきました。  アイラはしがみついて泣きじゃくる稜佳の髪をなで、「大丈夫。一来のコロッケ食べたら、すぐに元気になるから」と笑ってみせました。 「アイラ、冗談を言っている場合ではありません」  アイラの体が アイラの体のヒビが、根をはうように広がっていくのとは対照的に、紫霧の紫色の斑は薄れ、体に力が戻ったようです。壊れた鏡からクノチが流れ出し、紫霧の中に入っていきます。  傾いていた体はまっすぐになり、髪にも艶が戻っています。紫霧は首をまっすぐに伸ばしました。 「これで我が(しゅ)の世界に帰れる」と元通りの口調で言うと、手を前に伸ばしました。紫霧の手の先に、銀色の無機質な骨組みのような立方体が出現しました。 「これは……、これもトゥラナなの?」 「無機質な素材ですから、トゥラナというよりは、ゲートと言った方が合っていますね」
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