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 稜佳は私の袖を掴んで、激しく揺さぶりました。 「稜佳、落ち着いてください。紫霧は別次元に通じるゲートを通って、自分が元いた世界に帰っていったようです」 「でも……それなら逆さ鏡を使われないから、安心なんじゃない? そういうことだよね?」 「そうですね。しかしアイラと紅霧はすでに逆さ鏡に映されてしまいました。水神様の水をいただいて、体のヒビを修復したかったのですが、紅霧は現在、そのヒビのせいで、トゥラナが出せなくなっています。ですから、紫霧のゲートを利用して、水神様の世界へ行くつもりだったのです」 「じゃあ、紫霧がいなくなってしまったということは、水神様の所に行けない。水神様の所に行けないということは、水神様の湖の水がいただけないということ?」 「はい、非常に困った事態になってしまいました」  稜佳は息を飲み、一来も黙り込んでしまいました。  周囲の喧騒から切り取られたような静寂が包みました。
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