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 ふと、(なぜ、この二人は信頼を築いた過去の記憶もなしに、安全の保障もない未知なゲートなどに迷わず飛び込み、アイラを必死に守ろうとしているのか?)という疑問が沸き上がりました。  人間の心理というものは、まったく不思議です。 「フラーミィ、なぜ進むの?」はあはあ、と稜佳は早くも息を切らしながら、それでも歩調をゆるめることなく聞きました。 「このゲートはおそらく時間の歯車です。時間を漂う船のようなもののようですね」 「で、でも、もし進ませちゃったら? 進んでしまったら、逆に……ひび割れも進行してしまうんじゃないの?」 「大丈夫なようですよ。ほら、ヒビが消えてきました」 「私たちって、歯車を回すネズミみたいじゃない? グルグル同じところを進んだり戻ったりしているのよ。これじゃ埒があかない。紫霧を探さないといけないのに。フラーミィ、もう大丈夫だから、下ろして。自分で歩く」  私は抱えていたアイラをそっと降ろして、立たせました。アイラはふらつくこともなく、しっかりと立ち、私たちと同じ歩調で歩き始めました。 「そうだ! みんな違う方向に歩いたら、どうなるのかな?」
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