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「大丈夫ですか、一来!」  私は慌てて反対側の腕を引っ張り返しました。綱引きのように両側から一来を引っ張っている感触がした後、何かを引っこ抜いたような手ごたえがありました。 「おおおお……。今のはなんだったんだろう?」  一来はゲートから抜けた手を、上下に振って不思議そうに首を傾げました。 「一来、なにをのんきなこと言ってるのよ。 前を見て! どっちが前かわからないけど。とにかく進行方向! 早く!」 「わかったよ……。って、うわあっ! ぶつかる!」  ゲートは四角いコンクリートのようなものに、まっすぐ向かっていきます。 「わあああああっ!」  そしてズシン、という重い衝撃と共に四角い箱にぶつかると、船が接岸に失敗した時のように、ドン、という音を立ててぶつかり、跳ね返って二メートルほどの隙間をあけて止まりました。  衝撃にバランスをくずして、後方によろけるアイラと稜佳の背中に、とっさに影の腕を二倍の長さに伸ばして抱くように支えました。 「ありがとう、フラーミィ」
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