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「……承知いたしました」  もう少し一来の困った顔を見ていたかったのですが、仕方ありません。私は腕を影に戻して対岸のゲートに伸ばし、一来の手を握りました。 「私が手を繋いでいますから、落ちる心配はありませんよ。安心して飛んでください」  もちろん、一来が足を踏み外したら、一度下に落としてから引き上げるつもりだったのですが、残念ながら……失礼、当然の事ながら、一来は無事に飛び移ってきました。  全員が四角い箱に乗り移ると、稜佳は目の前にそびえたつ壁を見上げました。 「うわ。階段かあ……」稜佳が顔を引きつらせました。 「そういえば、稜佳、あなたはすぐ疲れちゃうんだったわね。ここで一人で、待っていてもいいのよ?」と、アイラは肩越しに稜佳をちらっと見ました。 「ちょっと、アイラちゃん! こんな所で一人で待っていたくなんかないよ。一人で待つのはもうこりごり……。あれ? 一人で待つって、そんなこと……なかった……よね?」  稜佳は頭の中に疑問符を浮かべて、首を傾げました。
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