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「何かが髪に触ったのよ。……って、うわっ!」と頭に当てていた手を振り回しました。そして手からプラン、とぶら下がった糸を見ると、目を見開きました。 「え? えええ? マミちゃん? いつ戻ってきたの?」 「マミは、上から降りてきて、アイラの頭の上に乗りましたよ」 「だって、マミは下に降りたのよ。上からなんて、おかしいよね?」 「そう。だから、ペンローズの階段は、不可能図形って言われているものの一つなんだけど、二次元、つまり絵なら描けるんだ」 「だまし絵みたいなものってこと?」 「そうだね。ペンローズの階段を三次元、つまり僕たちの世界で作ることはできないんだ。当たり前だけど。 もし実際に作ろうとしても、錯覚を利用して、そう見えるようにすることができるだけ。実際に実現は出来ない。 だけど、ここにはそんな錯覚を起こすような仕掛けもない。それなのに不可能図形が実現されているんだ」 「なるほど。ここは四次元か、またはそれ以上の空間ということですね。Higher Dimension world(上位次元世界)ならば、あり得ないこともありえますね」 「そう。登っているのに同時に下っている」
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