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 ドドドド、という水音が遠くから聞こえてきました。見上げると、階段の上から、大量の水が流れ落ちてきます。 「え? え? ええ~っ!」壁のように迫ってくる水に、稜佳が動けずにいると、アイラが稜佳の背中をペチッと叩きました。 「稜佳、立って! 走るわよ!」  階段を駆け下りると、階段が途切れ崖のようになっていました。先程までは、ペンローズの階段のように閉ざされていたというのに、その形が変わっています。 「どうする?」と顔を見合わせる間もなく、後ろから水が押し寄せ、滝のように落ちる水に背中押されるようにして、真っ逆さまに落下しました。 「これは……下手なバンジージャンプよりも、危険ですね。命綱がないですし」 「黒炎(くろめほむら)! なに落ち着いているのよ! なんとかしなさい!」  アイラは余裕がないのか、私を正式な名で呼び、頭から真っ逆さまに落下しながら、怒鳴りつけました。 ちらりと視線を走らせると、アイラの金色のツインテールがヒラヒラしていますが、当然、羽の代わりにはならないようです。  幸い、と言っていいのかわかりませんが、稜佳は目を回してしまったようです。一来は白目を()いて、魂が口から抜けてしまっています。相変わらず人間は面白い。
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