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 私は楽しくなって笑いながら、影の腕を伸ばし、空中でアイラと稜佳を回収しました。そして腕に二人を脇に抱え、一来の襟首を反対の手で掴みました。 その直後……、ザンッ! っと水しぶきが上がり、私たちは水の中に落ちました。三人を抱え水面に浮上すると、水の流れに押し流されました。岸のようなものは見えないし、流れに逆らうのも疲れます。紅霧も自力で浮上し、私たちの前を流れていきます。  ふいに、アイラに寝物語に読み聞かせた昔話のフレーズが頭に浮かびました。 「どんぶらこ、どんぶらこ……」 「フラーミィ、のんきに昔話をしている場合じゃないみたいよ」  おや、どうやら、声に出してしまったようです。 「これは失礼いたしました。私たちは流れをさかのぼっているようですね」  三次元ならば、水は上から下に流れていくのは当然すぎる原理です。しかし私たちは今、川を上っていました。水は下から上に登っていて、私たちも水に押し流されて、上に、上に登っているのです。その先には曲がり角があります。そしてきっとその先は……。 「やだやだやだ! 登っているってことは、さっきのバンジーをまたやるってこと?」
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