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光に揺らめく水の中は、底なしに見えました。下へ、下へ、下へ……。
稜佳は息を止めていましたが、苦しそうな顔になり、ついにブハッと息を吐き出しました。一瞬、しまった、という絶望的な顔になり……。
「あれ? 苦しくない……」と不思議そうな顔でつぶやきました。
我慢しきれず吹き出した私を、稜佳が恨みがましい顔でにらみました。
「フラーミィ、息が出来ること、わざと教えなかったでしょ!」
「いえ、わざとだなんて、そんなことはありませんよ、稜佳。ただ、面白い……、いえ、興味深い顔が見られるかな、と思ったらつい言いそびれただけです」
「もー! やっぱり知っていたんじゃない! って、あれ? 水の中なのに、しゃべれるんだ……」
「ケケケケケケケ!」と、どこからともなくけたたましい笑い声が響きました。
「稜佳、あなた笑われているわよ」
「え? やだ、誰かに見られてるってこと……?」
稜佳は怯えた顔になり、鳥肌を立てました。
「ハイアーディメンションのゲートが見えてきましたよ」
「さっき、乗ってきた紫霧のゲート……? それとも同じ形の違うゲートなの?」
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