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稜佳が泣き叫んでいます。なんとか目だけに力を集中すると、アイラの腕に黒い線が伸びていくのが見えました。そして線の先が二つに分かれ、それぞれが伸びるとまた二つに先が分かれます。四本の先が伸び、またそれぞれの先が二つに分かれ伸びていきます。
アイラの腕には、まるで珊瑚が枝を伸ばしていくように、瞬く間にヒビが細かくなりながら腕全体を覆うように広がっていきます。
「アイラちゃん!」
稜佳が泣き叫びながらアイラの腕にすがりつきました。そしてヒビを必死で上から抑え付けています。
一来と紅霧は、紫霧から二人を背中で守るようにアイラの前に立ち位置を変えていました。
「さあ、どうするのだ? その娘は間もなく砕け散る」
「やめてください! お願い……!」稜佳が両手をこすり合わせるようにして、神・カルパに願いました。
「稜佳、やめなさいよ。楽しませるだけよ」
「それでもいい。楽しませて、アイラちゃんを助けてくれるなら、それでいい!」
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