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アイラは気丈にも顔を上げ、体を起こそうとしましたが、額から汗がしたたり落ちていくだけでした。
無理に動かそうすれば、アイラのヒビが進行してしまうかもしれない。私はジッとしているようにアイラに伝えたいと思いましたが、声が出ないことがもどかしい……。
「動けない。重い荷物を背中に背負っているみたいだ」と一来が食いしばる歯の間から、つぶやきました。
「カルパ様、この者たちをどういたしましょうか?」
「そうだな……。次元の海に投げ捨ててみようか? 少しは面白いかもしれぬ」
「それはいい考えですね!」と紫霧がパチンと手を打ち鳴らして、同意しました。
(この、太鼓持ちめ!)と影ながら、毒づきましたが、残念ながら影のままでは嫌味の一つも言ってやることすら出来ません。
「そうそう、紫霧や、お前に授けた逆さ鏡はどうした?」
「も、申し訳ありません。黒猫に割られてしまいました」
「割られたと申すのか?」
「は、はい……」
「ああ、そう」
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