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「ハイアーディメンション? どういうこと?」 「僕たちの世界は三次元だと言われている。だけど本当は四次元、五次元、もっと上の次元があるんだ。アインシュタインの相対性理論は知っているだろう?」 「名前しか知らないし、悠長に講義してもらっている場合じゃないと思うけど?」 「よい。時間ならいくらでもある。前にも、後ろにも、の」 神・カルパは鷹揚に笑って、一来に話の続きを促しました。 「あ、ありがとう、ございます。ええと、つまり上の次元に行けば時間軸があって、過去にも未来にも行けるはずなんだ」 「いくつもある未来の選択肢の中から、紅霧が精命を与えられる未来を必然にするために、存在しないはずの紅霧にクノチを与え、紫霧を創ったっていうこと?」アイラは唇を人差し指でトントンと叩きました。 「そのとおりよ。わたくしのクノチを与えたというのに、水神シンガの精命を与えられた紅霧に負けるなど、許されると思っているのか? 紫霧にできることと言えば、逆さ鏡にクノチを与えるくらいのことだ」 「……カルパ様の仰せのままに……」  紫霧は覚悟したように膝立ちになり、胸の前で手を組みました。 「紫霧さんっ! そんなことやめろ!」
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