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「い……いの。カルパ様……は、存在を与えてくださったお方……。カルパ様に認められるなら、それで……。アタシは誰の中にも存在していないのだから……」 「ダメだあっ!」一来が叫び、紫霧の前に飛び出して手を広げました。 「それじゃあ、お前がクノチを捧げるかい?」 「カルパ様、や、めてくだ……さ……。真堂くん、なんで……」 「僕は紫霧さんとは友達になる予定なんだ。いなくなってしまったら、友達になれないじゃないか」と一来は紫霧の目を覗き込みました。紫霧は息を飲みました。 「だって、アタシは……」 「紫霧さん。僕たち、一緒に過ごした時間は短かったけど、その時間は確かにあった。そうだよね?」 「アイラから盗んだ記憶……と勘違いして……いるんでしょ? 私が一緒に過ごした時間なんてない……。アタシはたった一人の誰かになりたかった。だけど、なれなかった。当たり前だよね。まがいものの記憶じゃ、何にも、誰にも、なれっこない」
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