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 神・カルパは唇を舐めると、楽しそうにに逆さ鏡を撫でました。紅霧が身を低くしてフーッとうなったかと思うと、神・カルパに飛びかかりました。しかし紅霧は神カルパにぶつかる前に空中でピタリと止まりました。まるで一時停止ボタンを押されたように、うなり声を上げている表情もそのままでした。 (紅霧っ!)私は声にならない声で呼びました。  神・カルパは楽し気に笑い声をたてると、空中で静止している紅霧はそのままに、アイラに向かって逆さ鏡を投げました。逆さ鏡は美しい放物線を描いて、アイラの右目に吸い込まれていきました。アイラの目には血がにじみ、綺麗なブルーに赤が混ざってにごりました。 ――あははははは! さあ、元の世界に帰してやろう。破壊の巫女が世界を壊していく様を見物させてもらおう―― 「アイラッ!」神・カルパの笑い声が響く中、対称的に一来が悲痛な叫び声をあげ、駆け寄りました。
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