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「桐子も同じ選択を……」はあ、と紅霧はため息をつきました。「ズルいね、アイラ。桐子の名を出せば、アタシが逆らえないと思っているんだろ」 「孫の特権だからね」 「ふんっ。だけど、それならアタシも一緒に行くよ。桐子なら、こんな時、あたしにアイラから離れるな、って言うに違いないんだから」と言って、チラッと私を見ました。 私が物言えぬ影の姿であっても、アイラに危険なことをさせて申し訳ない、という断わりを入れたのでしょう。紅霧は律儀な女性ですから。 私はなんとか紅霧に頷いて見せようとしました。しかし残念ながら、私の思う通りには私の体は動いてはくれませんでした。しかし私の体がどうであれ、またアイラが何を選択しようとも、私はアイラと共にいます。私はアイラの影ですから。
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