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 紅霧は私に向かって頷き返し、「わかった。そうと決まれば、早く行こう! 一来と稜佳が目を覚ますとうるさいからね。  それに、アイラが甕に入ったら、あたしはすぐに鳥を必ず探して連れてくる。鳥を連れてくれば、アイラは甕から解放されるだろ?」と言って、尻尾を一振りすると、鞭のように長く伸ばしました。  紅霧は綱のように長い尻尾でアイラの手首をクルリと巻くと、アイラを引っ張って神樹を駆け上りました。 神樹のてっぺんに辿り着くとジャンプして、(かめ)に飛びつきました。そして尻尾を鞭のようにしならせて、アイラを引寄せました。  四角い甕の四方には、人面の彫刻が付いています。無礼ではありますが、他に足がかりもないため、アイラは口につま先をいれ、目に手をかけてよじ登り、甕の中に飛び込みました。
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