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「紅霧、鳥を連れて来てくれたんだね。よくやった。見ての通り、太陽の成長を抑えるのもそろそろ限界なのだ。太陽を目覚めさせるのは鳥の役目だ。太陽を破壊してしまえば、世界が燃え尽きることは防げるが、闇に包まれてしまう」
「申し訳ありません。鳥はまだ見つからないのです」
紅霧が尻尾を下げ、きまり悪そうにチラチラと水神シンガをうかがいました。
「私が鳥の代わりに祈りを届けます」と、アイラが紅霧を腕に抱き上げました。
「鳥なら、もうここに帰ってきているではないか」といいながら、水神・シンガはクスクスと楽しそうに笑いました。
「え? 鳥なんて、どこに……?」
ケケケケケケ! と、けたたましい笑い声が、甕の外から聞こえてきました。
「君達とずっと一緒にいたようだよ。笑いカワセミという名で呼ばれているらしいね。ご覧、鳥の笑い声で太陽が目覚め、昇っていくよ」
アイラは明るい光の方に目を瞑ったまま顔を向けました。
「ちょうどいい、アイラ、目を開けなさい。この甕を砕いてもらおう」
「でも」
「大丈夫、私を信じなさい」
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