81人が本棚に入れています
本棚に追加
アイラは眉根を寄せて、浅葱先生をジロリと見ました。アイラ本人はいたって平常心なのでしょうが、生来の大きなつり目は見つめられると迫力があり、見られている方は、まるで睨まれているように感じます。浅葱先生もアイラの目力にたじろいだようでしたが、人差し指でアイラの足元をチョイチョイ、とさしました。
アイラが目を向けると、黒猫がアイラの足に身をこすりつけるように、ぐるりと一周、回って、ニャア、と鳴きました。
「あら。紅霧じゃない。何してるの? もう逆さ鏡はないんだし、好きにしていていいのよ。私はこれから授業だし」と、しゃがみこんで黒猫に話しかけました。
「おはよう、ウィスハートさん」
アイラの頭の上から、声がしました。
「アイラ、と呼んでくれる?」
アイラは立ち上がりながら不機嫌そうに言いかえして、声の主を見あげました。
「No kidding(ウソでしょ)?! 紫霧!」
紅霧は紫霧の匂いをふんふんと嗅ぐとサッと飛びのき、シャーっと威嚇しました。尻尾を高く上げ、警戒するように歩き回っています。
「カルパ様が、三次元を観察して面白いことを報告しろ、とおっしゃったの」
最初のコメントを投稿しよう!