81人が本棚に入れています
本棚に追加
「いいじゃない。アイラの側にいれば、おもしろいことが起きるのは確実なんだから。それに一来がアタシと友達になる予定だって言っていたし。アタシはアタシの記憶を作りたいんだ」
「それを言うなら、思い出を作りたい、じゃないか?」
「そう、それ!」と、紫霧は屈託なく笑って、一来をピッと指さしました。
「いっっっきぃぃぃぃ」アイラは低音のデスボイスを響かせると、クルッと後ろを向きました。ひゅうっと風きり音が響き……
「痛っ!」
アイラのツインテールが一来の頬を打ちました。
「アイラ、痛いじゃないか!」
「そんなこと言える立場なの? 私との思い出を全て忘れておいて」
「あら。見苦しいわよ。自分との思い出を忘れないで……なんて」
「なんですって? 人の思い出を盗んだ張本人がよく言うわね! 紫霧こそ、なりすましで人に取り入ろうなんて、あさましいんじゃない?」
「おあいにく様。もうウィスハートさんの思い出は返却済みよ。返したと言っても、私は思い出を借りた時に、全て記憶をしたから忘れた訳じゃないけど」
「そ、そうなの……?」
最初のコメントを投稿しよう!