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 私たち影の使役魔は自分の意思で判断し、命令にも背くことができますが、真名を知られたら最後、主人の命令は「絶対」になり果てます。つまりバスの席取りも髪のドライヤーも、命令されれば「イエス」としか言えなくなってしまうのです。  精命の報酬もなしに、面倒な雑用をするなど……なんと恐ろしい! もちろんアイラはそれを分かっていて、ことあるごとに私に真名を白状させようとしてくるのですが……なんとしても精名を握られることだけは避けなければ!  アイラはふふん、と笑うと、新しい銀色の鋏で、毛先を切り取ってマミに与えました。 「それで? 他には何かわかった? マミちゃん」  アイラの精命を食べたマミの瞳が光りました。 (モノが落下する時は、いつも側に黒猫がいた) ……そうだとするならば、黒猫は敵……なのでしょうか?
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