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「いえ、お言葉ですが、出来ないことを認めるのも必要なことかと。そんなことより、アイラが羞恥で頬を赤らめるところなど、なかなか見られない珍しい顔ですから、よく見せてくださ……」 「うるさいっ!」  アイラは小さな声で私を一蹴し、勢いよく跳び箱から飛び降りると、影、すなわち私を……、踏みつけようとしました。が、もちろん自分の影を踏むことはできません。 「相変わらず、学習しませんねえ」とため息交じりに言うと、アイラはムキになり、私を狙ってバンバン足を床に打ちつけました。 「あのー、アイラちゃん? みんな見てるけど……。 跳び箱が跳べなかったの、そんなに悔しかったの?」」  稜佳が遠慮がちにアイラに声をかけてきました。稜佳は違うクラスですが、体育は合同授業のため一緒なのです。 「ちっ、違うわよ! だってフラーミィが……!」と言いかけて、アイラはそっと周りを見回しました。学園内でアイラが影を操ることができることを知っているのは、稜佳と一来以外には、教師の浅葱先生だけです。
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