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「わっ! びっくりしたぁ。フラーミィ、驚かせないでよー。え? あの子? うちのクラスじゃないよ。アイラちゃんのクラスの子でしょ?」 「そうだった? 知らないけど」と、アイラは肩をすくめました。  アイラにとっては、クラスメイトを覚えていないことの方が、覚えていることよりも普通なので、おかしなことではありません。しかし、仮にもアイラと勝負できるような運動能力を持っている少女ならば、これまでに目に付いていてもおかしくないはずです。 (一来に聞いた方がいいですね)と、肩をすくめ、体育館の向こう側に行きかけた時、「わぁ……」という歓声が聞こえました。  見ると、少女が高く跳び、ふわりと跳び箱を超えています。跳び箱に手を突くというよりは、形ばかり添えているだけのようです。 (ほう……!)と感嘆がもれました。軽やかで、まるで背中に羽でも生えているように見えます。  その時、黒猫が私の横を駆け抜けていきました。黒猫はまっすぐ一直線に跳び箱に向かって走って行き、少女がマットに着地するのと同時に、飛びかかりました。
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