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アイラと同じ服装を身にまとうたび、私の美意識が悲鳴をあげます。アイラの絹糸のような金髪と深い湖のようなブルーアイズの美しさがなければ、とうてい我慢できるものではありません。
「アイラ、おはよう!」
その声に、アイラが勢いよく振り返りました。金髪のツインテールがヒュウと空を切り……、パシッと音を立てました。
「痛って!」
「あら、えーっと……」
アイラの後ろで、人の好さそうな顔の青年が頬をさすっています。アイラの髪がムチのようにしなり、声の主の頬を打ったのでした。アイラはわずかに気まずそうにしたものの、青年が頬を手でさすりつつも、露ほども怒っていないことを見て取ると、「おはよう、一来」と言って、それが免罪符だとでもいうように、にっこりしました。
「アイラは今朝も元気だね」一来と呼ばれた声の主は、ツインテールが当たった拍子にズレた眼鏡を直しつつ、答えました。
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