3/9

81人が本棚に入れています
本棚に追加
/214ページ
「ねえ、フラーミィ、おかしくない? 稜佳も一来も紫霧と一緒にいるなんて」とポロリとアイラがこぼしました。やはりいつもまとわりついてくるお二人がいないことに、アイラも感じるところがあったのでしょう。 「そうですか? どこにいようと、稜佳と一来の自由だと思いますが」と、あえてなんでもないことのようにさらりと答えました。 「どこにいようと自由だとか、そんなことはわかってるわよ。私はね、寂しい訳じゃないの」 「ああ……。寂しいんですね」 「寂しくないわよ! そうじゃなくて、変だって言っているの」と、ちらっと教室の一角に目を向けました。  椅子に座った神木(かみき)紫霧(しきら)の机の周りを、同じクラスの生徒が十人ほど取り巻いており、その中に一来と稜佳もいます。稜佳は紫霧の髪に細い三つ編みを編むと、出来栄えを確認するように、顔を覗き込みました。  座っている紫霧が稜佳を見上げた拍子に、ペンケースが落ち、中身が床に散らばりました。一来が消しゴムやペンを拾い集めて、紫霧に手渡しました。  窓からの風がカーテンを揺らし、夕焼け空がのぞきました。紫霧はパッと立ち上がって窓辺に駆け寄り、頬を夕焼けに色に染めました。紫霧は窓から落ちそうなほど、体を乗り出しました。 「ただの夕焼けだよ」誰かが笑って言いました。
/214ページ

最初のコメントを投稿しよう!

81人が本棚に入れています
本棚に追加