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「紫霧の様子を探ってきます」
「なによ。変じゃないって言ったじゃない。もういいわよ。楽しそうにやっているみたいだし」
「さきほど私は、一来と稜佳がどこにいても自由だ、と申し上げたのです。ですが、その行動が異常ではないという保障にはなりません」
「なんなの、その理屈。私はそんなこと頼んでませんからね」と、むくれるアイラは放っておき、私はサッと床を刷いて、紫霧とその仲間たちの集団に滑り寄りました。
「……の時、消しゴム拾ってくれてありがとう」
「ああ、どういたしまして」
「あの消しゴム、なぜかあの後、粉々に砕けちゃってさ」
「へえ? そうなの? 不思議だね」
消しゴムが砕けた、と話しているのは山田です。消しゴムが砕けたことは、クモのマミの報告で先刻承知していますが、落ちた消しゴムを拾ったのは紫霧ではなく、アイラのはず。
私は山田の顔を観察しました。しかし、そこには嘘をついている様子はまったく見当たりませんでした。
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