黒猫

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「フラーミィもおはよう」とアイラのに向かって、一来は私にも挨拶しました。相変わらず、礼儀正しい青年です。それに引き換え、我が(あるじ)と来たら……。  私はこぼれそうになるため息を咳払いでごまかし、「おはようございます、一来」と返答しました。  そして「アイラ、一来が怒っていないとしても、こうした場合には謝るのが礼儀ではないですか?」とから進言しました。しかしアイラは肩をすばやくすくめてみせ、あろうことか「うるさいわよ、フラーミィ!」などと咎めたのです。  思わずカチンと来たためでしょう。私の周りに小さなつむじ風が巻き起こり、砂塵(さじん)がくるくると円を描くと、ジャスミンの香りがあたりに立ちのぼりました。  一来は「ちょ、ちょっとフラーミィ! ジャスミンの香りがダダ漏れだよ。僕なら大丈夫だから」と臨戦(お小言)態勢(モード)に入りかけた私をなだめるように言いました。 「……まあ、一来がそう言うのなら、仕方ないですね」
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