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なんでも好きなものを……。私は唇をチラッと舐めました。
アレになるのは、若干の抵抗がありますが、稜佳はアレの姿に甘いのです。アレの姿になれば、稜佳にスイーツをねだり放題です。美味しいスイーツが食べられるなら、ちょっとした負担は仕方ないでしょう……。私は影の姿から、素早く人型のアレになり、何くわぬ顔でソファに腰かけました。
「きゃあ! ちびアイラ、また会えたね~! 可愛い!」と稜佳は私の頭を撫でまわしてきました。幼い少女特有の柔らかい金髪がさらさらと揺れました。そして、つぶらな青い瞳にまっしろな肌。アイラの保育園当時の姿です。
「やめてくれる?」
私は黒いピカピカのエナメルの靴をパタパタさせ、頭もぶんぶんと振って稜佳の手から逃れました。
「ちびアイラ、ツンデレ~!」
「デレてないもん!」
「ツンも可愛い~」
ぷっくり膨れた私の頬をつついて来る稜佳には、もはや何を言っても無駄でしょう。しかしこれも甘いスイーツのため。これしきのことは耐えるしかありません。
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