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テーブルに戻ると、アイラから預かっておいた折れたシャープペンを、スカートのポケットから出して、テーブルの上に出しました。
「これを見て」
「見事に折れてるね」一来が折れたシャープペンを人差し指でつついて、転がしました。
「折れてるっていうか、スパッと切れ味のいい何かで切ったみたいな切り口だよね?」と言って、稜佳は眉を寄せました。
「そうだな。だけどプラスチックを一瞬で切り刻むなんて無理だよなぁ?」
「しかも、アイラちゃんの手のひらには傷一つないなんて!」
一来は稜佳の言葉にうなずくと、「折るとか切ったとか、そういう感じじゃなくて、バラっと砕けたんだ」と説明を加えました。
「なんで……?」
一来は砕けたシャープペンを持ち、折れた部分をためつすがめつしていました。そして確かめるように、指先で折れ口を触りました。
「痛!」
血中の精命のかぐわしい香りがふわっと漂ってきました。するどく尖った折れ口で指を切ってしまったようです。
………ペロッ…………
「ちょっと、フラーミィ! お行儀が悪いわよ!」とアイラの鋭い声が飛びました。
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