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「神木紫霧っていう子は、いつから学園にいるの?」
「いつからかな? 私はクラスが違うから知らなかったけど」
「去年もいたような気がするな」
「じゃあ、一年生の時は、神木紫霧は何組だったの?」
「えっ……。何組だったのかなあ? クラスが違っても、顔と名前は覚えるようにしているんだけど、思い出せないな……」
「私も覚えてない……けど、いたはずだよ。一年の秋の運動会の時、綱引きで隣で引っ張ったよ」
「稜佳の隣で綱を引いたのは、私よ」とアイラが複雑な顔で否定しました。忘れられていたことを指摘するのは恥ずかしいものなのでしょう。
「ええ? あの時、軍手を落としちゃって、神木さんに拾ってもらって」
「拾ったのも私よ」
「アイラちゃん、何言ってるの? 神木さんが拾ってくれて」
「そう。それならそれでいいわよ」
「えーっ! よくないよ。アイラちゃん、全然納得してないのに、なんでそんな言い方するの!」と稜佳がアイラに向かって声を荒げました。それは、めったにない……いいえ、初めてのことです。
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