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「人間であっても、影を使役できるのは、私が知る限りアイラと亡き桐子しかいません。桐子が亡き今、アイラだけが影を使役できる存在かと。まして、猫が自分の精命を影に与えて使役する可能性はありません」
「では、実体と影が一体化したものなの?」
「いえ、あの黒猫はトゥラナを出現させることが出来るようです」
「だから?」
「マミにはトゥラナを出現させることは出来ません」
「猫と影が一体化した存在でもない……」
「おそらくは」
「まあ、いいわ。取っつかまえて、聞き出せばいいだけのことよ。それで結局のところ、黒猫は紅霧なの? 違うの?」
「……黒猫が紅霧だと?」
「紅い目に頭の白い毛を見て、紅霧を思い出さないはずないわ」
「紅霧の可能性は、五分五分だと思います」
「はっきりしないわね」
「瞳の色は紅霧そのものですが、香りがクチナシではなく、蝋梅の香りでした。ですから可能性としては、フィフティ・フィフティです」
「それで、どうやって捕まえる?」アイラの青い瞳がきらめきました。
「私に秘策があります」
「秘策?」
私は先ほど入手したばかりの「アイテム」を胸の内ポケットから取り出して見せました。
「これって……。ふふっ、なるほどね。やるじゃない、フラーミィ! これなら黒猫が紅霧かどうかもはっきりするわね」アイラは悪い顔でニヤリとしました。
「追いかけて、とっ捕まえて、白状させるわよ!」
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