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私の関心がアイラに向いた隙を突き、紅霧は前触れもなく走り出すと、開きっぱなしになっていたドアから飛び出しました。
「待って、紅霧! フラーミィ、追いかけるわよ!」
広い芝生の庭に走り出た紅霧は、自分の前にトゥラナを出現させて駆け込みました。
「またね、アイラ。付いてきちゃダメだよ」と声だけが、トゥラナの中から響いてきます。ゆらっと水面が波打つように表面が揺れ、トゥラナが薄れて消えていきます。
アイラは紅霧を追いかけて、まだ波紋が残っているトゥラナに、アイラは迷わず飛び込みました。無謀です。トゥラナの中がどうなっているのか、わからないというのに。
仕方なく、私も。得体のしれない場所に行くのは気が進みませんが、私はアイラの影ですから。
イラスト:水色奈月様
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