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 トゥラナの中には、別のトゥラナがありました。いくつものトゥラナが連なっているのです。トゥラナをくぐると、その先にまたトゥラナが出てきます。 「紅霧ー!」  アイラは大声を上げて呼びました。返事を期待しているというよりは、どうなっているのか調べるために、声を出したのでしょう。 すると「紅霧ぃ……!」と、トゥラナの向こうから、アイラの声が帰ってきました。 「紅霧ぃ……!」と、今度は通り抜けてきた、トゥラナから聞こえてきます。前から、後ろから、反響し跳ね返り……、繰り返すうちに、小さくなって、やがて消えました。 「やまびこみたいなものかしら……。声を跳ね返す山は見えないけど。フラーミィ、なんなの、ここは?」と、聞き取れないほど小さな声で、アイラが囁いてきました。声が反響しないようにでしょう。 「紅霧は、どこへ行ったの?」 「さあ……?」 「でも、一本道しかなかったから、こっちでいいのよね?」 「前にも後ろにもトゥラナが連なっていますね。トゥラナの外側は、切り取られたように何もありませんが」 「そうね、指の一本でも出してはいけないような……、とても試してみる気にはなれないわね」
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