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「いっやああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーー!」 「アイラ、ちょっとうるさいです。紅霧、私たちはどこへ向かっているのですか?」 「止めてえええええええええええぇぇぇぇぇぇぇっっっっ!」 「アイラ、うるさいよ。だから付いてきちゃダメだって言ったのに」  紅霧のため息は、アイラの叫び声でかき消されました。  やがてザンッと水の中に落ち、唐突にアイラの叫び声が途切れました。アイラは空気がもれないように口を手でおさえ、目だけで周囲を見回しています。  水の抵抗で落下のスピードがゆるみ、アイラの髪も肩のあたりでひらひらと揺れる程度になりましたが、トゥラナは止まることなく、下に下に……沈んでいきます。  やがて軽い衝撃と共に地面に接地しました。アイラはよろよろとトゥラナから出て、地面に両手両足をついて、はあはあと荒い息を吐きました。そこは水の中にある大きな気泡のようでした。  気泡の中には島がありました。足元は柔らかな下草で埋め尽くされています。木々や草木も生え、のどかな小島に見えます。  気泡の外側は、水に囲まれているようです。そして島の真ん中には大樹がそびえていました。 「先に崩れ落ちて行った他のトゥラナはどこへいったのですか?」
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