81人が本棚に入れています
本棚に追加
/214ページ
「この空気の泡の空間は、球体なのかと思っていましたが、水神様の甕と水は繋がっているんですね。噴水のような感じでしょうか」
「噴水のように見えるが逆だよ。湖の水を甕の中に吸い込んでいるんだ。そして甕の下から扶桑樹に水を注いでいる」
「じゃあ、このままずっと鳥が見つからなかったら?」
「水神様の水はいずれ涸れてしまう。そうなると扶桑樹は燃え尽き、世界は闇に落ちる」
「そしていずれは消えてしまうのですか?」
「そういうこと。だから逃げた鳥を探すために、あたしは水神様の水を与えられて猫の姿を得た。そしてトゥラナを通って、此岸に舞い戻ったって訳だ」
「それなら協力するのに……。秘密にしなくてもいいじゃない」
「だからそれは」
「感動的な別れをしたばかりで、のこのこ顔を出すのが恥ずかしいから、ですか?」
「おだまり、黒炎!」
「鳥を探せばいいんでしょ? それなら探すわよ、私たちも。鳥がいないと、私たちの世界は暗闇に沈み、消えてしまうんでしょ?」
「まあ、ね」
「それで、鳥がいる場所の見当はついているの? それに、どんな鳥なの?」
「手伝いはいらないって言っただろ」
「なっ……」
最初のコメントを投稿しよう!