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紅霧が紅い瞳でヒタ、っと見つめてきました。どうやら黙っておけ、ということだと当たりを付け、口をつぐみました。アイラには秘密にしておきたい話なのでしょう。
「だからそれは、あたしが鳥を捕まえるから、問題ないって言ってるだろ?」
紅霧は定まらない視線をさまよわせながら、口調だけは強気に言いました。アイラはそんな紅霧を見つめていましたが、やがてニヤリと笑いました。そして、両手を腰にあてて言い放ちました。
「ばあっっっっっっっっっっかじゃないの? 見なさい。湖の水位が下がってきてる。強がり言っている場合じゃないと思うけど?」
「だけど、逆さ鏡が」と、言いかけて紅霧はハッとなって、顔を前足で洗いました。
「誤魔化そうとしても、もう聞こえたわよ。つまり、逆さ鏡と鳥とは関係があるのね?」
紅霧は、せっせと顔を洗っています。聞こえないふりをしているようですが、まったく誤魔化せていません。
「鳥に関連するものが、逆さ鏡を持っている。だからアイラを近づけたくないんですね」
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