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「この前落ちてきたのは、私の鋏だったわね。次に落ちてくるのは、鋏よりも大きいものか。何があるかなあ。鞄、椅子、机……は、まだ大きすぎるよね? 大きさで言うなら、それこそペンケース位じゃない? ね、フラーミィ?」
「そうですね」
「あーあ、今日も何もなかったね。帰ろう、フラーミィ」
アイラは他の生徒の流れに乗って、教室の後ろの荷物用ロッカーに歩いて行きました。ロッカーといっても、扉などはなく四角く区切られた棚が生徒に割り当てられているだけです。前の生徒が荷物を取り出すのを待っていると、棚から黒いリュックがゴトン、と重い音をたてて、転がり落ちました。
「おっと」とアイラはとっさに足を引いて、ぶつからないように避けましたが、少し遅かったようです。リュックが足にぶつかりました。
「あ、ごめん」
「いいよ。よいしょっと。重たいのね!」
アイラはリュックを持ち上げて、さらさらの髪の男子生徒に手渡しました。
「アプリの宿題が出てるだろ? だからタブレットも今日、持って帰らないと。タブレットって重いよなぁ。ウィスハートさんも持ち帰った方がいいよ」とアイラのロッカーの中に残されているタブレットを笑って指さしました。
「そうね」
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