黒猫

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「フラーミィ、遅いわよ! 黒猫がいなかったら、コレが稜佳にぶつかる所だったじゃない!」と、アイラは落ちてきた石を拾い上げて、私に見せました。 「申し訳ありません、アイラ」 「しかしどこから落ちてきたのかなぁ……」と一来が曇天を仰ぎ見ました。  校門から校舎までの通路の上空には、石が落ちてきそうな建物などはありません。私は石を手に取って、転がしてみました。なんの変哲もない、ただの石のようです。  石に当たりそうになった本人の稜佳は、不思議そうに首を傾げました。 「何か落ちてきたの? フラーミィが滑り寄ってきたかと思ったら、猫がぶつかってきて、びっくりしたよ」 「気が付いてなかったの? 稜佳、あなたもう少しで、石で頭をかち割るところだったのに。呑気(のんき)ねぇ」」と、アイラは肩をすくめました。 「呑気(のんき)って、もー! アイラちゃん、ひどいー!」と、稜佳が首をブンブンと振りながら言ったせいで、銀色のネックレスが制服のブラウスから飛び出しました。  彌羽(みわ)学園の校則では細かく禁止されていませんが、良家の子女が通う歴史ある学校であることから、生徒達の自治としてアクセサリーは自主的に規制されています。 「稜佳、あなた、学校にまでそのネックレスを着けて来ているの? 呆れた」
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