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「ずっと、見張っている……? いえいえ、紅霧。あなたは先ほど、気持ちよく寝ていましたよね?」
「……にゃああごおぅ……。 猫の習性にゃんじゃないかねぇ? ぽかぽか暖かいと寝ちゃうんだよ」
紅霧は、首を傾げて赤い舌をチラッと出しました。
「いくら黒猫姿が可愛いからって、テヘペロしてもダメですよ」
「ふん! 食えない奴だね。食えないところはアイラに似たのかね。アイラにはごまかしはきかなくて困るよ」
「つまり、ごまかしたい事でもあるのですか?」
紅霧の返事を聞く前に、アイラ達の教室の方で、ガシャっと物が壊れる音がしました。
「しまった、猫より大きいものってなんだい?」
紅霧は、壁を駆け上がって行きました。私も壁を刷き、紅霧を追い越して、窓の隙間から教室内にもどり、紅霧のために、細く窓を開けました。教室には少女達の悲鳴が響いています。
「黒炎!」アイラが私を呼びました。さあっとアイラの側に滑り寄り、影の姿で覆いました。上からの落下物はこれで私がふせぐことが出来ます。
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