カエノメレスの遺言

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翔ちゃんは楽勝で東大を狙える男子。 英語は全国模試でいつも一位。 「外交官になりたい」 担任に夢を語っていたことがある。 帰っていく翔ちゃんの 後ろ姿を見送りながら 「翔ちゃんは東大受けるんやろ?」 私が友達の真美に尋ねると、 「いや、家から通える範囲で  鈴ちゃんと一緒か、この沿線の  公立にするみたい」 「ええ?!自分こそ楽するつもり   と違うのぉ?翔ちゃんなら  明日名前書いたら合格やん!」 ちょっと私はムッとしたけど 「翔ちゃんとこ、あんまり  余裕ないねんて・・・お金。  翔ちゃんのお母さんと私の母さん、  同じスーパーでレジパートして  働いてるんやけど、いつも  『お金に追い回される』って  翔ちゃんのお母さん・・・  愚痴ってるらしいよ・・・」 真美はそう言ってから 「あ、私もバイトの時間や」 慌てて帰って行った。    
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