6年目夏

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6年目夏

今年の夏は短かった気がする。 物足りない感じもするが俺は暑いのが嫌いだ。 嫌な季節が流れ、秋が待ち遠しいと思うと子供のようにわくわくしてしまう。 いけないな…俺も26なのに。 「楽しい?クロ。」 ここ最近深夜の散歩を気に入ってる。 雑草だらけで錆び付いた遊具の捨てられた侘しい公園。子供の声を聞いたこともない。 前に足を運んだことがあって感慨深い。 日中なんて無駄に暑いだけだ。 日が、朝が始まる前の、生まれる前の時間にひっそり気晴らしするから乙なのだ。 「手を汚さないようにしろよー。」 はしゃぐクロに微笑みかける。 ちょっと嫌がられたが紅いリボンがよく似合う。幾つになってもクロは小さくて可愛いなぁ…。 街灯がチリチリ切れかかる。 「…今日は友達来るかな?」 家に閉じ込めるのは可哀想だ。 こうやって外を知ることも大切だよな? 奥から現れる影が街灯に仄か照らされる。 クロが足元にすがりついてくる。 何度も頭を撫でてやった。 有意義な散歩の時間だった。
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