7年目夏

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7年目夏

いつもの席でマスターとお喋りしながら、苦い珈琲を啜る。 「…なんてことになったんだよw」 「それはそれは、大変でしたなぁ。」 微笑に揺れる銀の髭。話を聞きながらもグラスを磨くのを怠らないマスターの鑑。 あー俺、結構マスター好きかも。恋愛感情は微塵もないけど親より親って感じしてる。 何もかも素直に話せる相手はマスターかクロしかいない。そう、今は二人だけ。 「………。」 隣の席をチラリと見る。 もう長いこと浅実とは連絡取ってない。 俺やクロに、遠慮してるんだろう。 友に会えない寂しさはあるが、あれは仕方ない。クロを虐めた罪はそれだけ重いんだ。 頭では分かってるはずなのに、どうしてもやっぱり寂しい…。甘い感情を流すために不味い珈琲を嚥下してる。 カランコロン… 「いらっしゃいませ。」 マスターがニコやかに声を掛ける。 興味半分で俺も僅か、振り返ってみた。 「…!」 「アの…オミセ、開いてマスか?」 肩幅がドアの横幅よりでかい男。 身長はゆうに2mあるだろうか。 パッと見ただけで分かる、異国の青年。 タッパはあるくせにすごくモジモジして喫茶店を覗いてる。マスターが穏やかに返事した。 「お好きな席に掛けてくださいな。」 「ヤァ…ドも。」 「…ども。」 独特なパーソナルスペース、俺の隣に座るか。 最初は正直不安を覚えたけど…彼は俺にとってかけがえない友人の一人となった。
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